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マーケティングのジレンマ・・・No.11 インフラがぜい弱だから生まれるビジネスがある

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日本では新幹線は遅延せず、数分の遅れが出ても車掌がお詫びをする。また日本国内で日本企業からECで商品を注文しても、商品が届かないということはなく、約束は守られる。日本はこういう国だが、中国では違う。社会インフラがぜい弱だから、新規事業や新サービスが生まれるという因果な関係性が、中国にはある。

衆安保険(ジョンアン保険)が「フライト遅延保険」を投入し需要を拡大したのは、中国のインフラに問題があったからだ。

衆安保険(ZhonAn Insurance ジョンアン保険)は、2013年にアントフィナンシャル、中国平安グループ、テンセントによって設立されたインターネット専業の損害保険会社で、「インシュアテック(フィンテック×保険)」の世界的企業として成長している。2017年9月に香港取引所に株式上場を果たし、調達額は1,500億円を超えた。衆安保険(ジョンアン保険)は保険契約を保管する目的でブロックチェーンを利用し、中国全土の100以上の病院と、記録照合及び保険金自動請求に関するデータ共有協定を締結している。

同社はネット取引サイトの「淘宝網(タオバオワン)」などで商品を購入する際、商品が思った通りの内容や品質でなかった際に返品する場合の返送料金を補償する保険として、一般消費者向けの「返品送料保険」を開発。中国のEコマース市場が伸張したことでこの保険が普及し、同社が急成長する要因となった。同社は創業から業容を拡大し、「フライト遅延保険」や「スマホ破損保険」といった商品を投入し、需要を拡大している。

フライト遅延保険とは、フライト運航情報と連携し、一定時間以上の遅延が生じた場合には、契約者が直接請求の手続きをしなくても自動的に保険金が振り込まれる保険だ。中国では飛行機が頻繁に遅延する国内事情があり、これに不満を持つ乗客によって空港が混乱する社会問題が生じていた。しかし同保険が普及し、遅延保険金がもらえるため不満を持つ人が減り、トラブルは沈静化したようだ。

同社は医療保険領域にも進出し、スマートフォン経由で毎日の歩数を測定すると翌月の保険料に反映する医療保険や、血糖値測定器を使って糖尿病患者の保険金を計算する商品を誕生させている。

「衆安保険(ジョンアン保険)」はこれまでに日常消費・ファイナンス・航空旅行・健康・自動車保険の5分野に300以上の保険商品を投入しているが、将来は生命保険への参入を視野に入れている。

参考資料

:NRI Financial Solutions 新しい保険ITプラットフォームを打ち立てる衆安保険・衆安科技 2018年2月号
:コインテレグラフジャパン 中国オンライン保険大手の衆安保険、ブロックチェーン活用を計画 アリババなどが出資  2018年6月2日