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マーケティングのジレンマ・・・・No.28 辟易とするマスメディアの報道が多い中で、零細な新聞社が見せたジャーナリズムの本質

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このところマスメディアによる偏向報道に対して、ネット上では各分野の専門家から批判や指摘が多数されています。またメディアのジャーナリストが自分たちを「国民の代表」だと勘違いしている報道姿勢にも、批判の声が上がっています。こうした中で、メディアとジャーナリストが本来の社会的使命を示してくれた新聞社があります。

東日本大震災の際に、本来の社会的使命を示してくれた新聞社

東日本大震災によって町の大部分が水没し、電気・ガスを始めとするライフラインに加え、電話やネットも止まった中、社員数28人、その内の記者の数は6人(2011年当時)という小さな新聞社も被災していました。社員たちも被災し、家族の安否も把握できない中、彼らは被災した地域住民に必要な情報を届ける決意を固めます。被災状況やライフラインの復旧、支援状況等を記事にした原稿を、報道部長の武内宏之氏(当時)が読み上げ、社長の近江弘一氏が新聞用のロール紙にフェルトペンを使って手書きしていきます。同じ6枚の壁新聞を書き上げると、胸まで水に浸かりながら、6か所の避難所に貼りに通いました。

この手書きの壁新聞は3月12日から3月17日までの6日間に渡って続けられ、3月18日にはA4判のコピー新聞が発行され,19日に輪転機が再稼働するまで、この新聞社は震災後1日も休刊せず、被災した住民に情報を届け続けました。当時大手メディアは何十人何百人と記者を送り込み、零細な新聞社が入手できない情報を大手メディアが掲載していきました。そんな中、彼らは「大手のメディアは被災地のことを被災地の外に伝えるメディア」なのに対し、自分たち『地域紙は被災地のことを被災地に伝えるメディア』だという視点に立ち、食料、水、薬など、被災者のための生活情報を中心に報道していったのです。

この新聞社の活動に対し,同年9月に国際新聞編集者協会※1は年次総会で特別賞を授与。そしてアメリカのワシントンDCにあるニュースの総合博物館「ニュージアム※2」はその歴史的な紙面である壁新聞(求めに応じ同社が寄贈)を展示しています。

この新聞社は、宮城県石巻市にある石巻日日新聞社です。

※1国際新聞編集者協会とは

国際新聞編集者協会(International Press Institute 略してIPIと呼ぶ)は、報道の自由の促進及び保護、報道の実践の改善を目的として設立された世界的組織で1958年設立され、120ヵ国以上が参画している。会員は、世界各国の報道機関に勤める編集者、幹部、記者などで構成されている。

※2ニュージアムとは

ニュージアム( NEWSEUM)とは、ワシントンD.C.にある、ニュースとジャーナリズムに関する、双方向型の博物館で、その運営は、フリーダム・フォーラムという、「全ての人々の為の報道の自由、表現の自由、そして自由な精神」のために設立された無党派の基金が資金を提供している。

出典 デジタル時代のマーケティングエクササイズ