マーケティングのジレンマ・・・No.92 金融詐欺から高齢者を守るフィンテック

認知症を患う高齢者の弱みに付け込むのは、ブラック企業や悪人だけに限らず、時にホワイト企業からも高齢者が狙われるグレー案件もあります。ご両親はもとより、私たちは必ず年齢を重ね、高齢化していきます。そんな時代にあって、親や私たちのニーズを踏まえた金融システムが現れました。
高齢者を狙った詐欺や犯罪を防ぐフィンテック
認知症を患う高齢者を狙った詐欺や犯罪は、日本だけでなくアメリカでも起きています。現在アメリカでは約700万人がアルツハイマー病を患っており、ベビーブーマー世代が高齢化するにつれてさらに増加する見通しです。
そんな環境下で、注目すべき企業が登場しました。True Link Financial(トゥルーリンク・フィナンシャル)という企業です。現在約100人の従業員が働く規模の企業ですが、サンフランシスコを拠点として、認知症などのメンタルヘルス上の問題を抱える顧客向けに支出管理機能付きのデビットカードを約15万人に提供し、年間決済総額は約7億5,000万ドル(約1,120億円)に上る実績を上げています。
この企業の共同創業者でCEOのスティンチコムさんが起業を思い立ったのは、祖母にアルツハイマー病が発症したからです。元教師の祖母は年金暮らしでしたが、記憶力が衰えたことで、詐欺めいた慈善団体の勧誘に無防備になり、クレジットカードを使って同団体に寄付をするようになりました。またショッピングモールの勧誘に騙されて、6,000ドル(約89万円)の補聴器を買わされたこともあったそうです。
同社は米証券取引委員会(SEC)に登録済みの投資アドバイザーとして事業も運営し、運用総額が約15億ドル(約2,240億円)の資産運用サービスも提供しています。また将来の計画の1つとして、同社のデビットカードサービスを、大手銀行向けにホワイトラベル商品(取引先のブランド名で展開するプロダクト)として展開することを考えているようです。
ちなみにアメリカのフォーブスは2025年2月18日に、最も革新的な金融テクノロジー企業50社を選ぶ年次リスト『フィンテック50』の2025年版を発表しましたが、このリストにTrue Link Financialが初めて選ばれています。
出典:認知症の高齢者に特化したカード会社、フォーブス『フィンテック50』で注目 Forbes JAPAN