価値のジレンマ・・・No.67 多くの人が知らずにいる、高額報酬を得るための絶対条件

あの人はパイロットだから年収がいい。彼は医師だから収入が多い。希少性の高いスキルを備えているから、収入が高いのだと誰もがこう考えます。では同じ医師なのに、歯科医師の年収が医師に及ばないのはなぜでしょうか。ここに私たちが見落としている高額報酬を得るための絶対条件が潜んでいます。
「需要はできる限り大きく、供給はできる限り少ない分野の仕事」を探すという視点を持つ
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、2022年(令和4年)の全国の平均年収は458万円で、対前年比2.7%増。男女別の平均年収では男性が563万円、女性は314万円です。
次に「令和5年賃金構造基本統計調査」から年収の高い職種を見ると
1位 航空機操縦士(パイロット) 1,779万円。
2位 医師 約1,231万円。
3位 管理的職業従事者(会社役員、企業の 課長相当職以上、管理的公務員等) 約1,090円
4位 大学教授(高専含む) 約1,071万円
5位 法務従事者(裁判官、検察官、弁護士及びその他司法に関連する専門的な仕事に従事する人) 約997万円
6位 大学准教授(高専含む)約863万円
7位 歯科医師 約762万円
となっています。
年収の高い職種に共通するのは、その職種に従事するために高度なスキルが要求され、その要求を満たす人の数が少ないという点です。
しかしここにもうひとつ、多くの人が気づいていない要素が存在します。それが「需要と供給のセオリー」です。
需要が大きいのに、供給が少なければ、その仕事に従事する人材の報酬は高くなります。逆に需要が限られているのに、供給が多ければそこで働く人材の報酬は低くなります。
医師と比較して、歯科医師の年収が低い点を事例として考えてみます。
歯科医院の数はコンビニエンスストアよりも多い(供給量が多い)のに対して、虫歯になる人が減っているといった市場(歯周病の潜在患者は多いのですが)の縮小により、歯医者に行く人は(需要)が限られてきています。日本では予防のために歯科医師のもとで定期健診を受ける人が少ないという点も背景にあります。
医者の給与が一般的に高いのは、単に数が少ないからではなく、需要に対して人数が少ないからです。
弁護士は収入の差が大きい専門職ですが、この理由も同様です。需要が大きいのに、そのテーマを専門にしている弁護士が限られている場合には給与は高くなります。しかし需要が限られる専門性では、弁護士の収入は高くはなりません。営業力の有無によっても収入は左右されますが、需要に対して供給が限られているかどうかを見極めることが何よりの条件といえます。
高い収入を得ようと考えるなら、希少性の高いスキルを身に着けるという発想だけでなく、「需要はできる限り大きく、供給はできる限り少ない分野の仕事」を探すという視点を持つことです。