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マーケティングのジレンマ・・・・No.13 価格の設定を誤ると、地獄を見ることがある

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企業にとって商品・サービスの価格を決めることは、その企業の売上と利益を決めるだけでなく、企業と商品のブランド価値を左右する重要な要素になる。売れるだろうと安易に販売価格を安くしてしまうと、その後に取り返しのつかない事態を招くことになる。

安易に販売価格を安くしてしまうと、その後に取り返しのつかない事態を招く。

企業が新たに商品やサービスを開発し市場に投入する際、価格の設定は成功するかどうかを決め、また収益を左右する重要な要素だ。価格を決定する方法は、「原価」「競争」「需要」に着目して設定されることが多い。

〇「原価」に基準を置いた価格設定方法とは

製造に掛かった費用(コスト)に、自社のマージンを上乗せする方法だ。マージンの設定は自社都合なので、生活者の意向や意識は反映されない。歴史の長い業界や企業では今もこの方法を採用している企業が多い。

〇「競争」に基準を置いた価格設定方法とは

競合他社の価格を参考にして価格を決める方法だ。競合他社と差別化が容易でない場合に、採用されることが多い。日本に多い横並び発想の方法ともいえる。飲料のようにカテゴリーで価格の概念が生活者に定着している場合、慣習価格として横並びの価格が採用されることが多くなり、価格を上げることが容易でない業界もある。

〇「需要」に基準を置いた価格設定方法とは

生活者が購入してもよいと考える水準を見越して価格を決定する方法だ。生活者が価値を認めてくれれば、たとえ価格が高くても購入してもらえる。だが自社の価値を見誤ると、売れない商品に終わってしまう。この方法で成功しているのはAppleのiPhoneだ。顧客がいくらまでなら購入してくれるかを分析し、強気の価格設定を行っている。

「価格は安い方がいい」と考える生活者が多く、企業はともすると価格設定に弱気になるケースが多い。だが選択肢ごとに(プレミアム・レギュラーとか、特上・上・並など)価格を設定する「段階価格」設定や、宝飾品やブランド価値が高い商品やサービスの場合は、価格自体が品質の目安になる「名声価格」設定を採用する場合もある。商品やサービスによっては、価格が安いことがデメリットになる場合があることも、記憶しておこう。

いずれにしても自社の商品やサービスの価格設定は、自社の運命を決めることになる。