コラム

マーケティングのジレンマ・・・No.98「AIが要約する時代」は、ニュース業界の価値が“素材”に変わる日

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コラム リンクトイン

グーグルの「AIによる概要(AI Overviews)」機能によって、直接AIが回答や概要を提示すると検索する人が減り、ニュースサイトを訪れる人は減少しています。この動きは、マスメディアを中心としたニュース業界の根幹を揺るがす構造変化を生じさせます。そこではどんな変化がニュース業界を襲うのでしょうか。

AIによる概要(AI Overviews)機能が普及すると、マスメディアのニュース業界は深刻なトラフィック減と収益低下に直面する

最近注目されているのが、グーグルの「AIによる概要(AI Overviews)」機能です。検索結果に直接AIが回答を提示すると、概要だけでことが足りる人なら検索をする必要はなくなり、ニュースサイトを訪れる人は減少していきます。これは単なる技術の進化ではなく、ニュース業界の根幹を揺るがす構造変化になります。なぜ今、「AIによる要約」がマスメディアを苦しめるのでしょうか。以下に、4つの視点を抽出してみます。

1. 読者がニュースサイトを訪問しなくなると、メディアの広告収入モデルが崩壊する

これまでは検索エンジン経由でニュースサイトを訪問してもらうことで、メディアは広告収益を得ていました。しかし「AIによる概要」が普及すると、概要だけで事足りるユーザーはニュースサイトに行かなくなり、その場で満足してしまう傾向が強まります。こうなるとニュースサイトに表示される広告の表示回数は減少し、広告による収益モデルが大きく揺らいでしまいます。

2. 情報提供者から“AIの燃料”へ格下げされる

ニュースサイトの記事は、AIの学習・回答生成のための素材として使われています。しかしその使用について、報酬が発生するわけではありません。本来ならニュース業界の資産であるコンテンツが、AIに吸い取られるだけの存在になっていきます。

3. AIに使わせなければ、自社の情報が表示されない

一部の報道では、パブリッシャーが検索結果の表示優遇を受けるためには、AI学習への同意が必要となる「ディール」があるとする指摘があります。情報を提供するニュースサイト側は、自社の可視性(閲覧による表示機会)を守るために、AIにデータ提供を“強いられる”構図になっていきます。

4. 有料課金が苦しくなる

記事単位での少額課金(マイクロペイメント)という解決策も検討されていますが、従来の月額課金による収益モデルと比較すると採算性はよくありません。また読者の心理として「ネット上の記事は無料で読む」という習慣が根強く、有料モデルへの転換は容易ではありません。

 

「AIによる要約」はユーザーには非常に便利な技術ですが、マスメディアに代表されるニュース業界は深刻なトラフィック減と収益低下に直面していくことになります。