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価値のジレンマ・・・・No.28 株価下落を好機とみて、攻めに転じるウォーレン・バフェット氏とバークシャー・ハサウェイ

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「私は馬鹿でも経営できるほど優良な企業の株を買うようにしている。なぜなら遅かれ早かれどの会社もそういう人が経営するのだから」と指摘したのはウォーレン・バフェット氏です。この指摘とは別に、彼にはもうひとつ投資の極意がありました。

「私は馬鹿でも経営できるほど優良な企業の株を買うようにしている。なぜなら遅かれ早かれどの会社もそういう人が経営するのだから」

2022年5月16日、アメリカ証券取引委員会(SEC)への届け出を見ると、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、銀行のシティグループの5,500万株(約26億ドル)、メディアのパラマウント・グローバルの株式6,900万株(約190億ドル これで同社の保有率は10%を超えています)、金融のアライ・ファイナンシャルの株式3億9,000万ドル相当など、8社の株式を新規に取得しました。ちなみにバークシャー・ハサウェイは2022年1月期から3月期にシェブロンと同業のオキシデンタル・ペトロリアム、パソコンのHP、ゲームのアクティビジョン・ブリザードなどの株式を大量に追加取得しています。

現在の保有株式数はシェブロンが約1億5,900万株(約270億ドル相当)、オキシデンタルが1億4,300万株(約100億ドル相当)、HPは1億2,100万株(40億ドル超相当)、アクティビジョンが6,400万株(50億ドル相当)となっています。これらの株式取得の大半は2022年3月上旬に実行されています。

バークシャー・ハサウェイによる株式の取得が流れると、5月17日のアメリカ株式市場はパラマウント株は前日比14%高、シティは7%高、アライは約5%高と3社の株価は急伸しています。その一方、1989年から投資していた銀行のウェルズ・ファーゴと、通信のベライゾン・コミュニケーションズの株式はほぼすべてを手放しています。

バークシャー・ハサウェイは株式を購入するために、総額510億ドル(約6兆6000億円)あまりを2022年1月期から3月期に投資し、この投資は近年のバークシャー・ハサウェイでは最大規模です。ウォーレン・バフェット氏はこの時期の株安を好機と判断して、投資姿勢を攻めに転じたわけです。

現在91歳のウォーレン・バフェットは、フォーブス社の推定では1,133億ドル(約14兆6100億円)の資産を持つ世界第5位の富豪です。2022年5月17日にバークシャー・ハサウェイの株価が1%上昇したことで、ウォーレン・バフェッ氏トの純資産額も15億ドル(約1,900億円)増加しています。

ちなみに同社の前身は1888年に設立され「綿紡績業」を営んでいました。一時は1万人以上を雇用していましたが、第二次世界大戦後に経営が厳しくなり、ウォーレン・バフェット氏が企業価値よりも株価が割安だと判断して買い進めたようです。
当初は紡績業も営んでいましたが、投資業に力点を移したことで、1985年までに紡績業をやめています。現在の社名はバークシャーという名の織物会社と、ハサウェイの名の会社が合併し、現在のバークシャー・ハサウェイになっています。

参考資料:Forbs JAPAN 「危機こそ好機」のバフェット流健在 バークシャー、1~3月に6.6兆円投資