コラム

価値のジレンマ・・・・No.29 物の値段とは、正当な労働と同じ価値のものだ

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時にバッシングを受けるかもしれない価値観や表現があっても、伊集院静氏にファンが多いのは、普段、口にしたくても世の中の雰囲気で口に出せずにいる大人たちがそれだけ多いからではないでしょうか・・・

普段、口に出せずにいる大人たちの言葉を、代弁してくれる人

大人が口に出せない本音を綴る作家は伊集院静氏であり、彼のエッセイです。大人なら、普段、苦々しく思い、口にしたいことがあっても、口にしないことが多々あります。それを彼は文章で言い放ってくれます。

『一家の食卓で、いくら子供は食べ盛りでも、家長と子供が同等ではおかしいのではないか。家庭の中で妙な平等を教えるから、世の中に出た時、社会までが平等と誤解をしてしまう。懸命に働いて帰ってきた家長の晩酌のビールがいつも発泡酒ではおかしいのではないか。きちんとしたビールを出せ。きちんとしたウィスキーを出せ。子供の記憶にきちんと植えつけるのだ。「オヤジ(パパでもいいが)いい酒を美味そうに飲んでいるな」―――当たり前だ。ワシは働いとるんだ。つまり物の値段とは正当な労働と同じ価値のものなのだ』

『生きることにいちいち意味を求めるのは、寿司を喰うのに、ミッシュランとかいう馬鹿な星がふたつもついている寿司屋のトロだから、うん、やはり美味い、といちいち御託言いながら寿司を食べる阿呆と一緒でしょう(タイヤ屋に寿司がわかるか。若い奴に寿司がわかるものか)。美食家?食べ物のコウシャク言うんなら五十年、一財産喰ってから言え。』
(以上原文のまま)

時にバッシングを受けるかもしれない価値観や表現があっても、彼にファンが多いのは、普段、口に出せずにいる大人たちの言葉を、代弁してくれていからではないかと思います。