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価値のジレンマ・・・・No.32 才能という花が咲く季節

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子役で注目された俳優が、大人になってから見かけなくなり、20代で数々の栄冠に輝いたスポーツ選手が、引退後に社会問題を引き起こす事件を度々目にします。その一方、多くの人たちが自分の将来はもう見えたと諦める中高年になってから、素晴らしい活躍を遂げる人が存在します。人の個性とその可能性の発露に「早い」「遅い」などという基準は、本来は無関係ではないでしょうか。

若くして頭角を現す人もいれば、熟年になってから賞賛され偉業を成す逸材もいる

人間の個性は千差万別で、画一的ではありません。若くして頭角を現す人がいる一方、60歳を過ぎてから大発見をしたり大恋愛をして初めて結婚したりする人もいます。

若者の中には「希望する会社に就職できた友人と、就職先が見つからず焦っている自分」などと、同世代の仲間たちと自身を比較することがあります。この傾向は社会人になってからも続き、「彼は一番最初に課長になった」とか「20代で起業し、経営者になって凄い」などとスピードを競う風潮があります。

ところが40代以降の後半戦に入ると、自分の将来はもう見えたと諦め、趣味に走ってしまうヒトが結構存在します。

若くして成功した人材は自らの力を過信し、傲慢になったり怠け癖がついたりして、その後上手く行かない人生を歩む場合があります。逆に年齢を重ねてから世に認められた人は、周囲の人たちに助けられ、支援を受けたから現在の自分があることを知っています。今日あるのは助けてくれた人のお陰だと、他者の支援を忘れない人がいます。

春が近づくと梅の花が咲き、そして桜へと続きます。夏になると太陽の下で向日葵が咲き、秋には菊、そして冬には椿へと繋がっていきます。

春に咲く花が偉く、冬に咲く花が偉くないないなどとは誰も思いません。人間の才能も同じです。

若くして頭角を現す人もいれば、熟年になってから賞賛され、偉業を成す逸材もいます。にもかかわらず「早い」ことを賞賛する風潮があるのは、残念です。その人にしか発揮できない力が、いつ社会で発露するかは、人によって異なります。他人と比較するのではなく、昨日の自分よりも今日の自分が少しずつでも成長しているのなら、それが最高なのかもしれません。「速さ」でなく「やり遂げた業績や結果」で判断すれば良いはずです。

天寿を全うした時に最高の人生となり、人生という物語が完結する。これが最高の花の咲き方なのかもしれません。