価値のジレンマ・・・No.85 1億円のマンションを買うのに世帯年収はいくら必要になるのか?

2024年の東京23区の新築分譲マンションの平均価格は1億1,181万円で、2年連続で1億1千万円台(データは不動産経済研究所)となり、既に都内のマンションは1億円台が相場になってきました。では1億のマンションを購入するには、どれだけの世帯年収が必要になるでしょうか。
たとえ世帯年収が1千万円あっても、1億円の住宅ローンを抱える生活はかなり制約を受ける
2024年の東京23区の新築分譲マンションの平均価格は1億1,181万円となり、2年連続で1億1千万円台(データは不動産経済研究所)となり、既に都内のマンションは1億円台が相場になってきました。では1億のマンションを購入するには、どれだけの世帯年収が必要になるでしょうか。
この目安をニッセイ基礎研究所が試算しています。これまで大部分の人たちは住宅ローンでは変動金利タイプを利用していますが、将来の金利上昇を考慮して全期間固定金利のフラット35で試算しています。その詳細を見ると、2024年12月の金利は返済期間35年の場合1.86%で、返済負担率上限35%を適用すると、年収1千万円(この数字は手取り額です)の借入可能額は8,999万円になり、世帯年収が1千万円以上なら計算上は1億のマンションが購入できることになります。
ただこの試算では世帯年収が1千万円の場合、1千1万円不足しており、事前に頭金を用意しておく必要があります。
年収1千万円の世帯はどの程度いるのかを調べてみると、全国レベルでは平均所得金額が524万2千円、中央値が405万円となっており、世帯年収が1千万円以上は11.7%(高齢者も含む)です【データは厚生労働省2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」】。
次に東京特別区の一般世帯のうちで「夫婦と子供から成る世帯」574,200世帯のうち、世帯年収が1千万円以上は322,800世帯で、56.2%と過半を占めています【データは総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」】。
世帯年収が高いのは妻も働いているからです。妻の雇用形態別に見ると、「正規の職員・従業員」が276,200世帯、「非正規の職員・従業員」は262,600世帯で、妻が正規雇用の場合では69.7%が世帯年収は1千万円以上で、非正規雇用でも39.9%が同1千万円以上になっています。
このシミュレーションには子供の教育費などは含まれていませんから、仮に世帯年収が1千万円だとしても住宅ローンを抱えると生活はかなり制約を受けることになります。