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価値のジレンマ・・・No.94 ハーバードのMBA修了生の4分の1が就職できない時代に、未来を担うリーダーに不可欠な資質

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どんなに高学歴で優秀であっても、他者をさげすむような態度では、リーダーとして信頼を得ることはできません。むしろ、そのような姿勢はAI以下とすら見なされるリスクがあります。AIはやがて日用品のような存在になります。そのとき、人としての価値を決める要素はなんでしょうか。

AIによって知識や技術だけでは差別化できない時代が到来する今、リーダーに求められるスキルとは

近年ハーバード・ビジネススクールのMBA修了生の4分の1が就職できなかったという衝撃的な事実が明らかになりました。高度な分析力を武器にするはずの彼らでさえ、AIの台頭によって職を得ることが難しくなっています。

これは単に雇用の問題ではありません。AIの進化によって、知識や技術だけでは差別化できない時代が到来してくる予兆です。今後、リーダーに求められてくるスキルは、創造力や洞察力、そして「人としての良心」です。

「人としての良心」とは、他者を思いやる感性、公平な判断力、自らの経験と倫理観に基づく行動力です。AIは論理的に正しく振る舞えても、相手の気持ちに共感し、善悪を自分の中でそしゃくして判断することはできません。

SNSでは人を見下すような発言が溢れ、学歴や偏差値で他者を評価する風潮も目立ちます。しかし、どんなに高学歴でも、他者をさげすむような態度では、リーダーとして信頼を得ることはできません。むしろ、そのような姿勢はAI以下と見なされるリスクがあります。

大学教育は、「今すぐ役立つ知識」や人気のあるスキルを教えるだけでは不十分になります。人文知(文学、哲学、歴史、宗教、倫理、芸術など、人間の精神活動や文化、社会の在り方を深く考察する学問分野の総称で、人間とは何か、社会とはどうあるべきか、善悪とは何かといった問いを考える学問のこと)や、歴史観を含む本質的な教育を通じて、学生に「良心」を育むことがこれから求められてきます。

AIはやがて日用品のような存在になります。そのとき人間の価値を決めるのは、AIにはできない「人間らしさ」であり、人としての良心と倫理的判断力です。これが未来を担うリーダーに不可欠な資質です。

参考資料:ハーバードMBA修了生の4分の1が”職なし”、AI時代の大学に求められる「真正良心」の教育 東洋経済オンライン