コラム

価値のジレンマ・・・No.95 AI活用で世界に遅れる日本企業・・・問われているのは「恐れるより理解する力」

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コラム リンクトイン

AIの利用率が最も低い日本なのに、40%の人が失職を不安視しており、「使わないのに恐れる」という日本特有の傾向が浮上しました。どうすれば私たちはAIを味方にし、AIを協働できるパートナーにすることができるでしょうか。

AIは「恐れるもの」なのか? それとも「共に働くパートナー」なのか?

ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表したレポート「AI at Work 2025」によれば、AIを日常的に活用している人の割合は、インド92%、中東87%、スペイン78%と高水準にある一方、日本はわずか51%で、調査対象11地域中で最下位でした。

興味深いのは、AIの活用が進んでいる国ほど「今後10年で自分の仕事がAIに奪われる可能性がある」と感じている人の割合が高い点です。例えば、インドでは92%がそのような懸念を抱いています。しかし、利用率が最も低い日本でも40%の人が失職を不安視しており、「使わないのに恐れる」という日本特有の傾向が浮き彫りになりました。

●BCGはAIの活用を推進するには、以下の3つが重要だと指摘しています。

①体系的なトレーニングの提供

特に対面式でコーチングを伴う5時間以上の研修を受けた人は、AIの活用が定着しやすい傾向があります。

②適切なツール環境の整備

54%が「正式に許可されていなくてもAIツールを使う」と回答しており、いわゆる“シャドーAI”が社内に潜在しています。許可のないツール利用がセキュリティリスクになりつつあります。

③経営層による明確な方針提示

経営者の積極的な関与が、社員のAI活用意欲を高める鍵になるとされています。

●近年注目されている「AIエージェント」の導入

AIエージェントとは、業務フローに組み込まれ、特定の業務(情報検索、要約、顧客対応、データ入力など)を自律的かつ継続的にサポートするAIプログラムのことを指します。たとえば、チャットで資料作成を補助したり、CRMと連動して営業支援を行うなど、単なるツールではなく“協働するパートナー”として機能します。

レポートによると、こうしたAIエージェントを導入している企業の割合はまだ平均13%程度と少ないですが、それを理解している人ほど「AIは脅威ではない」と捉える傾向があります。

BCGは最後にこう締めくくっています。

「単にAIを使うだけでなく、業務プロセスや顧客価値をどう変革するかが、これからの差に繋がる」

あなたの職場では、AIは「恐れるもの」になっているでしょうか? それともすでに「共に働くパートナー」になりつつあるでしょうか?

参考資料:日本のAI活用は世界下位 失職の懸念が先行する実態 Forbes Japan