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価値のジレンマ・・・No.96「人手不足」と「人あまり」が同時に起こっている要因

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日本の労働市場は、「人手不足」と「人あまり」が同時に起こっています。なぜこうした状況が生まれているのでしょうか。そこで見えてくるのは、働く人の役割が変わってきていることです。

いま問われているのは、「人を減らすか」ではなく、「人の役割をどう変えるか」

現在の日本の労働市場は、介護や運送業のような現場職が深刻な人手不足に直面する一方で、総務・事務などのホワイトカラー職は「人余り」の傾向が顕著です。有効求人倍率を見ても、介護職は3.7倍、運送業は3.3倍なのに対して、事務職は0.44倍と、競争が激しくなっています。

こうした状況に加え、AIやDXの進展により、定型的な管理業務や間接部門の業務は急速に自動化されています。間接部門の効率化は「人手不足社会」と矛盾するどころか、むしろその構造的解決策のひとつになっているようです。

このような背景の中、パナソニックホールディングスは2026年3月までに国内外で1万人規模の人員削減を実施すると発表しました。対象は主にホワイトカラーで、希望退職や配置転換を通じて合理化を進め、年間1,500億円超の収益改善を見込んでいます。

同社は白物家電や住宅設備は世界的にも市場が成熟してきており、グローバルな価格競争の影響を受けやすいため、営業黒字を維持しながらも、成熟市場での競争やEV電池などへの投資に備え、間接部門の重複解消を急ぐ必要があります。これは「黒字リストラ」とも呼ばれ、人的資源の最適化という視点に立てば、時代に即した戦略的な改革といるようです。

いま問われているのは、「人を減らすか」ではなく、「人の役割をどう変えるか」です。企業が将来に向けて柔軟に動けるかどうか。現在はその分岐点にあるようです。

参考資料:「黒字企業のリストラ」なぜ増加? パナ「1万人削減」は始まりに過ぎない ITmediaビジネスオンライン